黒田博:「愛すべきモーツァルトオペラのバリトン役」2017年04月21日 16:49

友人に誘われて、代々木のアトリエ・ムジカに出掛けた。小さな音楽スタジオの中で、バリトン日本第一人者のモーツアルト・オペラ・アリアを楽しめる醍醐味もさることながら、数々の出演の経験者ならではの裏話が大変面白く、素晴らしい午後のひとときを過ごすことができた。
印象深い話がたくさんあったが、その中でもモーツアルトの才能について、「ドン・ジョヴァンニ」は彼の作品の中でも格別のものである。ほかの彼の作品は、野の花が自然にどんどん咲いて、「あれもきれい、これもきれい」という感じに素晴らしいものばかりであるが、「ドン・ジョヴァンニ」はモーツアルトが特別に力を込めて生み出した傑作で、他の作品とは別格のものである、というような話をおもしろく聞いた。
バリトン歌手にとって「ドン・ジョヴァンニ」を歌うことは特別の意味があり、黒田氏にとっては最後の「地獄落ち」のシーン、悲鳴をどうやるか、うまく出来るか否か、が一番大事で、うまく出来た時は最高に気持ちがいいそうだ。
ユーモアたっぷりな貴重なお話と迫力満点のアリア、誘ってくれた友人に感謝。