カズオ・イシグロを再び読むだろうか。2017年10月07日 21:11

だいぶ前、英語のテキストとして、やさしい短い小説を探し、カズオ・イシグロの’’A Pale View of Hills’を読んだ。英語がそんなに難しくなく、背景が日本のためかすごく読みやすかったことを思い出す。
その後、映画化された「日の名残り」や「わたしたちが孤児だったころ」などはもちろん翻訳でおもしろく読み、最後に読んだのは「わたしを離さないで」である。ところが、これは何とも後味の悪いSF小説で、カズオ・イシグロはもう絶対に読まないと心に決めていた。その彼がノーベル賞をとった。さて、私の決意やいかに。

「祈りの幕が下りる時」2017年10月14日 23:30

久しぶりに東野圭吾を読んだ。加賀恭一郎シリーズの一つの作品で映画化が進んでいるらしい。以前は「白夜行」「秘密」「手紙」「幻夜」等々、随分楽しませてもらったけれど、最近はすっかりご無沙汰だった。感想は星三つぐらいかな。まあ、ミステリーって、多かれ少なかれ無理がある話になるけれども、疑問が解決されていくに過程にはちょっとついていけなかった。いろいろな名前が出てきて、頭の中、ごっちゃになって覚えるのが大変!
それにしても手を変え品を変えいろんな話を作って、いつもながらすごいタフな作家だなと感心する。

映画のテーマは尊厳死2017年10月27日 22:40

Amazonのプライム会員という資格で映画をダウンロードしてテレビの画面で観られることが分かり、スカパーのスタアチャンネルも解約した。そして、まず無料で観られる映画のうち「男はつらいよ」第一巻を観、大いに笑わせてもらった。
次に観たのがフランス映画の「92歳のパリジェンヌ」という作品、去年公開の映画で399円という値段である。題名から、これも喜劇に近い作品だろうと思ったのが大間違い。なんと老人の尊厳死がテーマだった。下の方もおぼつかなくなった主人公が、子供や孫たちに祝ってもらう誕生日のパーティで、自分はあと2カ月で命を終わりたい、自死を見て見ぬふりをしてくれ。という宣言をする。
「母の身終い」という映画のテーマ、スイスの安楽死受け入れ団体「ディグニタス」で死んでいく主人公の話を思い出した。この映画のセリフにも、何とか自殺を止めようとする娘に「スイスに行くというわけじゃない」という言葉が出てくる。寝たきりになった母を見送って、次は自分たちの番と思うことが多い我々には身につまされるテーマだ。
原題は「La Derniere Lecon」[最後のレッスン]というのに、コミカルな作品だと間違えるような邦題をつけること自体、日本では尊厳死のテーマはまだまだタブーなのだろうと思う。
映画自体の話は、長男がなんとか母の決心を止めようと、母の薬を盗みに入ったり、母には誰にも知られてない不倫の恋の話があったり、テーマのわりにはコミカルに話は進んで行く。はたして「尊厳死」を求めた母親の願いは達成されるのか否か・・。息子、娘、そして孫はどう対応するべきなのか、正解のない、あるいは、正解が幾つもあるテーマに考えさせられた。