「万引き家族」2018年06月15日 22:15

「万引き家族」という題名から受ける印象が見事にひっくり返った作品だった。カンヌ映画祭の最高の栄誉であるパルムドール賞を獲得したというのも納得できる。フランス語の題名は「Une Affaire de Famille」だそうで、訳すのが難しくてよく分からないが「家族のある事情」「家族のある事件」ぐらいの感じだろうか。
原題の「万引き」という特殊な言葉で感じるどこかユーモラスな印象は、最初のシーン、ごく最近の現実の幼い子供たちが犠牲になるという辛いニュースと重なり、胸がしめつけられるものにとって代わり、最後まで、血縁に関係のない「人間のやさしさ」に目頭があつくなった。
現実にはちょっと考えられない家族が、あんな状態で存在するはずはないと思いながらも、どんどん話に引きこまれていくのは、やはり是枝監督の力量の為せる所以だろう。カンヌ映画祭でケイト・ブランシェットが大絶賛していたのを思い出しながら、ほとんどが老人ばかりの観客多数と真っ暗になった映画館を後にした。

コメント

_ カジヤマ ― 2018年06月16日 16:53

なんて感性豊かなエッセイストなんでしょう、と感動しながらブログを拝見しました。

_ Atsuko Tsujisaki ― 2018年07月05日 17:43

身に余るご感想、ありがとうございます。
敦子さんもぜひごらんになって、感想を聞かせてくださいませ。

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