カミュ「ペスト」2020年05月02日 23:50

不条理がテーマだというアルベール・カミュの「ペスト」、いつか読んでみたいと思いつつ、いつも本箱の隅っこにあるのをチラッと見ているだけだった。しかし世界中で新型コロナウイルスによるパニックが続く今こそ読む時だ、思い切って読書開始、しかし字が小さいのでKindle本を手に入れて挑戦することにした。
まず翻訳に拒否反応が出てしまったが、そこは悪態をつきながら乗り越え、結構長い作品を何とか読み終えた。医者のリゥーを中心に彼の周りの人たちのペストと戦う姿は、いま世界中の人々が強いられているロックダウン(日本の場合はStay Homeのみ)というシステムの中で、感染者の棒グラフや折れ線グラフに一喜一憂している現実の我々の世界と重なって迫力満点だ。
それにしても、海外の施政者が言う「ロック・ダウン」と我が国のそれ「緊急事態宣言」との違いにつくづくと思いをはせた事件ではある。

村上春樹 「猫を棄てる」-父親について語るとき-2020年05月10日 18:22

村上春樹の一連の奇想天外な小説は、終わったあとに「読まなければよかった」と自己反省することが多い。ノーベル賞候補になるたびにファンが大勢喫茶店などに集まり、ジーッと獲得の時をみんなで待っているなんて光景のニュースを見ると「彼の小説の良さがわからないのは私が馬鹿だから?」と思って次にまた挑戦するのだが、やはり「分からないわ」ということになる。
 しかし彼のエッセーは気に入っている。「遠い太鼓」「アンダーグラウンド」など、だいぶ前に読んだものだが、いまも読んだ時の感動を思い起こす。
 さて、猫好きな作家の新作が「猫を棄てる」というタイトルとは、まさか猫の悲しい話ではないでしょうね、とちょっぴり心配したが、それは最初から杞憂におわりほっとする。
 京都のお寺の住職の次男として生まれた作者の父親の軍隊での過酷な体験を中心に話が進んでいく。多くをかたらない父親は息子の成功を喜んでいた、しかし、その一人息子の村上春樹との間には長い間の確執があった。息子はまたとない成功を収めている人気の作家である。しかし二人の関係は父親の最期の時に、形だけの融和があっただけで、不和はなんと何十年と続いていたのである。なぜ?
村上春樹は、その事実だけを述べて、二人の間の問題には触れることはなく終わるのだが、最後に、木に登って降りてこられなくなった子猫のことが描かれる。子猫は助かったのか、否か。
やはり村上春樹は簡単には読めないようだ。

ソーシャル・ディスタンスをキープしてBBQ2020年05月27日 21:24

緊急事態宣言解除の前日、実に真面目すぎるほど丁寧に家族3人との生活を守ってきた次男一家がやってきた。「お疲れ様」という意味を込め、テーブルを二つ並べ、ソーシャル・ディスタンスをキープしてのBBQ、三密もクリアでき、ひさしぶりの楽しいひとときでした。長男一家ともやりたいと思うが、3家族一緒のBBQはまだ無理でしょうかね。
下のお皿の写真は前々日の年寄の夕食です。時々利用しているプロのヤキトリ(前日の残り)、そして中トロまぐろを生の新キャベツにくるむという斬新(?!)なアイデア、新キャベツの甘味とマグロが合ってすごくおいしかったのです。